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2009年1月12日 (月)

カッパさん、新年早々恥ずかしげもなく 『金のなる木』 の初夢を見る・・・ の巻!(その2)

            ~ その1からの つづき 

     

「 カッパ様、 折り入って、ご相談がございます」

     

「 なんでごじゃろう?」

     

「 先日、ひと粒お譲りくださったバロック変形真珠)でございますが ・・・

 あれを、私どもに、「木ごと」 譲っていただくわけにはいきますまいか?」

     

「 なんですと!   木ごと?!

     

「 もちろん、

 ・・・・・・ カッパ様の言い値で買い取らせていただく所存です」

     

「 言い値?

 それはまた大胆なご提案ですな、Mモトさん。

 高くつきますよ。  ・・・・・・ それとも、

 どんなに高くついても、1個ずつ買うよりは安上がりだ、

 というお考えですかな?」

     

     

ワシは、少々挑発的に言ってみた。

すると、目の前に座っている Mモト の宝石鑑定人は、

さわやかな笑みを浮かべて、切り返してきた。

     

     

「 我々は、出し惜しみをする考えはないのです。

 具体的に、 ・・・・・・ どのくらいをご希望ですか?」

     

     

ワシは黙っていた。

だってそうじゃろ

具体的な金額なんて、まるっきり思い浮かばんかったんじゃ。

     

     

「 では ・・・・・・、 $∞無限大ドル)でいかがでしょう?」

     

無限大ドル?!

 それは、一体、 ・・・・ いかなる金額?!

     

・・・・・・ さあ、

 私も、「提示してよい」 と上から言われている額の上限を

 お伝えしただけですから ・・・

 本当に、どのくらいの金額なんでしょうね?

 まあ、しかし、言葉の意味からしても、

 把握できないほど無限に大きい であるとしか ・・・、 

 表現のしようがありません」

     

     

そう言って、その宝石鑑定人は上品な笑みを浮かべた。

ワシはまた、黙りこくってしまった。

だってそうじゃろ

     $∞ だなんて

・・・・・・ 地球上の話とは思えんじゃないか ・・・・・・

そんな ・・・、   荒唐無稽な

すると彼()は、いよいよ最後の提示額を切り出してきた。

     

     

一回限りではございません。  毎日です。

 毎日$∞ を、ご指定の口座に振り込ませていただきます。

 それで、 ・・・・・・ いかがですか?」

     

     

ワシは、冷や汗がどっと噴き出し、頭のお皿が急激に渇いてくるのを感じた。

はてな 

ワシの皮膚には 「汗腺」 など存在しないはずなのじゃが ・・・

まあ、 ・・・・・・ よかろ、

つまりは、それくらいビビってしまったってわけじゃ。

     

     

「 カッパ様 ・・・ ?」

     

     

Mモトの宝石鑑定人は、強い眼差しをまっすぐにこちらに向けてきた。

上等そうな黒のスーツに、濃紺のネクタイ、

そのタイの真ん中よりちょっと上には、

緑色に照り輝く大粒の黒真珠がコロンと乗っかっている。

端正な美しい顔立ちをしたこの人物は、

9割がた男性に見えたのじゃが、ワシはひょっとしたら、

                   「 ・・・ 女性かもしれん 」 とも思った。

声を聞いても、性別は判然としなかった。

低音ではあったが、男性的な太い声ではなく、澄んだ濁りのない声だったからじゃ。

でもまあ、しかし、  

・・・・・・ 性別などは、どうでもよい ・・・・・・

広い Mモト のサロンには、ワシと鑑定人とのふたりきりが、

大理石のテーブルを挟んで差し向かいに座っており、

他には誰もいなかった。

ワシがいつまで経っても黙りこくっていたので、

彼()のほうから再び切り出してきた。

     

     

「 カッパ様から譲り受けた品を、ひととおり鑑定させていただきました。

 現段階まででわかったところでは、あれは確かに真珠のようではあります。

 ただし、まだ 「真珠」 とは断定できない。

 なぜなら、もし、あれが真珠であるとするなら、

 我々専門家が、かつて一度も見たことのない 「新種の真珠 だからです。

 一見したところでは、今私が身につけているこのブラックパール

 最もよく似ています

     

     

ワシは、目の前の麗人の胸元に目をやった。

強い緑色の光を放つ黒真珠が、目に入った。

     

     

「 これは、黒蝶貝(くろちょうがい)という貝が産する真珠で、

 一般に、黒蝶真珠(くろちょうしんじゅ)と呼ばれているものです」

     

・・・ クロチョウシンジュ ・・・

     

「 ええ ・・・

 真珠は、「」 という生き物が創りだす宝石です。

 貝殻の内側は、虹色に輝いていますよね?」

     

「 そうですな ・・・、  とても、綺麗じゃ。。。」

     

「 ええ、とても綺麗です。

 貝の内壁自体がすでに美しく、宝飾品としての価値があるので、

 よく螺鈿(らでん)細工などに使われたりします。

 あの、虹色に輝く貝殻の内壁は、貝が分泌する 「真珠質」 で

 できあがるのです」

     

・・・ しんじゅしつ ・・・

     

「 そう ・・・、  そして真珠は、

 真珠貝の中に入った砂粒などの異物に、貝が分泌する真珠質

 長年かけて幾重にも層状に堆積することでできあがるものなのです。

 砂粒なんか、貝にとっては迷惑千万な代物ですからね。

 「やわらかい体を傷つける、鋭利な危険物」 以外の何ものでもありません。

 厄介モノを、住みかの内壁と同じ 「真珠質」 でくるんでしまい、

 自身の体を守るのです」

     

「 ほほぅ、なるほど、うまくできている  しかも ・・・神秘的ですな ・・・

     

「 ええ、 とても神秘的です。

 今、簡単に説明しましたが、事情はもっと複雑です。

 真珠ができあがるためには、砂粒など 真珠の核となる異物だけ

 貝の軟体組織に入りこむだけではダメなのです。

 真珠質を分泌する 「外套膜(がいとうまく)の上皮細胞もろとも、

 軟体組織に入り込まなくてはなりません。

 このことからしても、天然自然に真珠ができあがるということが、

 いかに稀なことであるか   お分かりいただけるでしょう」

     

・・・ ふむ ・・・

     

「 軟体組織に入り込んだ異物は、

 ともに入り込んだ外套膜上皮細胞によって次第に包まれいき、

 そのうち完全にすっぽりと 「袋状に」 包み込まれてしまいます。

 それが 「真珠袋(しんじゅたい)」 と呼ばれるものなのですが ・・・

 真珠は、その 真珠袋」 のなかで成長して大きくなるのです。

 真珠袋はそもそも、真珠質を分泌する外套膜上皮細胞でできているので、

 中の異物に対して真珠質を分泌し続け、異物である核の周りには、

 真珠質が幾重にも積層して、「真珠層」 が形成されていきます。

 真珠の神秘的な輝き色味は、

 このように長年かけて形成された 真珠層に 光が入り込むことによって

 生じるものなのです」

     

     

麗人は続けた。

     

     

真珠層は、炭酸カルシウムの結晶からなる薄い膜が、

 それこそ何千枚も積み重なってできています。

 そして、その炭酸カルシウムの薄膜と薄膜の間を、

 タンパク質の層が埋めているのですが、これもまた極めて薄い層で、

 炭酸カルシウムの薄膜どうしを接着する役目を担っています。

 真珠層に光が入り込むと、何千枚もの炭酸カルシウムの薄膜が、

 複雑な光の干渉を起こし、あの、ピンクや緑の ・・・

 あたかもシャボン玉の表面のごとき虹色の光沢をつくり出すのです。

 純然たる物理現象ですが ・・・、 たしかに神秘的ですね。

 そして、真珠の色味の基盤となる色は、

 接着剤の役目をしているタンパク質に含まれる色素何色であるかによって

 決まってきます。

 その色素が、例えば黄色であれば、

 まさに黄金の輝きを持ったゴールドパールが生まれる ・・・

 といった具合に。

 つまり、真珠の複雑なは、

 タンパク質層に含まれる色素により、基盤となる色が決まり、

 炭酸カルシウム層における光の干渉により、虹色の光沢が生み出される

 というわけです。

 それ以外にも、真珠層の基底部に、有機質の層が巻きつくことによっても

 基盤となる色は違ってきますが ・・・

 数ある真珠母貝のなかでもとりわけ、黒蝶貝」 が分泌するタンパク質に

 含まれる色素には、」、「」、「」、と3色あって、

 これらの色素の配合具合や、それがどんなふうに重なり合うかによって、

 基盤色が 「」 だったり、「黒味がかった」 だったり、

 あるいは 「黒味がかった」、「黒味がかった」 だったりと、

 白蝶貝(しろちょうがい)が生み出す白蝶真珠や、

 アコヤ貝が生み出すアコヤ真珠には決して見られない、

 多彩な色味をもった真珠が生まれるのです」

     

     

麗人はそこまで一気に解説してしまうと、

卓上に置かれた玉手箱)のふたを開けた。

中から現れたのは ・・・・・・

先日ワシが Mモト に売りつけた極上の一品じゃった。

     

     

「 これはご存じのとおり、先日、カッパ様から譲り受けた一品です。

 この可愛らしいヒョウタン形の品は ・・・

 下半分はワインレッド、てっぺんに近づくに従って徐々に紫色に移行

 していて、色相の明確なボーダー(境界)は認められません。

 黒蝶真珠と大きく異なる点は、基盤色自体が決して黒味を帯びていず、

 「赤そのもの」 だったり、「紫そのもの」 だったりすることです。

 全体に強く虹色の干渉色が現れているのは、普通の黒蝶真珠と同様ですが

 ・・・・・・

 その上さらに、譲っていただいたこの品に関しては、

 色は赤・紫系、形はヒョウタン形ですが、

 毎日ひとつずつ実る()真珠の色味には、

 「無い色が無い」 というほど全色存在・・・、またについても、

 雪だるま形や、洋ナシ形、レモン形、アーモンド形 ・・・

 ときに真円のものまで、実にヴァラエティーに富んでいる ・・・

 と、お伺いしております。

 しかし、そもそも、

   ・・・・・・ そもそも 不可解な点は、

 これが、 「に実ったモノ だ、 ということなのです

 あたかも、果実であるかのごとく

 真珠通常、

 ・・・・・・ 通常も何も() ・・・、 」 がつくり出すものです

 それがどうして、 「」 に実るのか !!!!?

 「貝」 がつくり出すモノを 「真珠」 と定義するなら、

 これは決して、 ・・・・・・ 「真珠」 ではない

 では一体、何なのか?!

 我々は、さる研究機関に解析を依頼しました」

     

・・・ さる研究機関?!

     

「 ええ、現時点で応用可能な最新鋭の科学技術を用いることのできる

 高度な研究機関です ・・・

     

     

          shine ~ その3に つづく ~ shine

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